自転車との接触事故について、慰謝料金額を保険会社提案の9倍、過失割合7:3から9:1を認めさせた事案
事故態様 | 出会い頭の衝突 |
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事例の特徴 | 慰謝料金額増額、自転車対歩行者 |
属性 | 男性、40代、会社員 |
症例・ 受傷部位 |
手関節打撲・捻挫 |
後遺障害等級 ・死亡事故 |
- |
主な 損害項目 |
受任前 | 受任後 |
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傷害慰謝料 | 約9万円 | 約83万円 |
- 交通事故の状況
- 歩行中に自転車と衝突し受傷。打撲・捻挫、手のひらに深い傷を負った事案。
- ご依頼内容
- 保険会社の慰謝料提示金額が少額であったので、弁護士を介して、慰謝料金額の増額を求めて、当弁護士法人へご依頼されました。
- 対応内容と成果
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加害者側は、診断書の打撲・捻挫との記載を元に、保険会社の基準で慰謝料金額を算定していました。打撲・捻挫との診断内容では、慰謝料金額が低額になることがあります。
しかし、当法人が、診断書、診療録を取り寄せたところ、手のひらについて縫合施工がされている記載を発見しました。ご依頼者も、自転車との接触により手のひらに深い傷を負い、縫ってもらったとのことでした。
症状の軽い打撲等の事案ではないと判断し、保険会社基準ではなく、裁判基準で通院慰謝料を算定しました。また、裁判基準の中でもより基準の高い赤い本別表Ⅰに基づく慰謝料の請求を行いました。
診断書やカルテも証拠として添付し交渉した結果、赤い本別表Ⅰに基づく慰謝料金額で合意できました。
また、過失割合については、加害者側から7:3という主張がありました。しかし、7:3の根拠を加害者側に確認したところ、納得のいく説明は受けられませんでした。裁判例をリサーチし、自転車対歩行者の過失割合について、本件と類似の裁判例を2件提出しました。
その結果、「9:1」の過失割合で加害者側と合意することができ、ご依頼者の希望通りの主張が認められました。
- 総括・コメント
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慰謝料金額は、加害者保険会社の基準により提示されることがあります。
当弁護士法人に依頼された場合、裁判基準である民事交通事故訴訟「損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)に基づき請求を行います。赤い本の基準は、別表Ⅰと別表Ⅱの基準があります。別表Ⅰは、慰謝料金額が高く、別表Ⅱは慰謝料金額が低い基準です。
「捻挫・打撲傷」と診断された場合、別表Ⅱの基準が適用されることがあります。本事例では、「捻挫・打撲」と診断されていました。しかし、診断書等を弁護士が検討し、縫合施工されている点を証拠と合わせて主張しました。
その結果、単なる「捻挫・打撲」ではないとの主張が受け入れられ、別表Ⅰの高い慰謝料金額の基準で合意することができました。また、自動車と歩行者との事故と異なり、「自転車」と歩行者との事故は、過失割合についての基準が確立されているとはいえない状況です。
加害者側の過失割合の提示は、厳密に調査したとはいえない可能性があります。類似した裁判例等を可能な限り提示し、説得的に論じる必要があります。
本件では、類似する裁判例を2件提出し、7:3の過失割合から9:1で合意することができました。損害賠償金額に応じて、ご依頼者の過失割合が3割なのか、1割なのかで、数十万程度、もらえる賠償金額が変わってきます。
本件でも、慰謝料基準と過失割合について争った結果、慰謝料金額を9倍程度増額することができました。自転車と衝突した場合でも保険会社に対して請求できることがあります。お困りの方はご相談ください。