死亡事故の賠償金請求|弁護士のメリットと費用解説
死亡事故における損害賠償請求は、遺族にとって重要な手続きですが、法律の知識や交渉スキルが求められるため、専門家である弁護士の支援が必要です。本記事では、以下について説明します。
- ・死亡事故の賠償金請求において弁護士に依頼するメリット
- ・死亡事故の場合の弁護士費用を解説
- ・適切な弁護士選びの方法
- ・相談のタイミング
また、以下の死亡事故の解決に必要な知識や手続きをまとめて説明しています。
- ・慰謝料や逸失利益といった賠償金額の詳細
- ・示談交渉の流れ
さらに、実際の解決事例を交えて、弁護士がどのように遺族の利益を守り、賠償金額を増やすことができるのかを紹介します。死亡事故に関する法律の基礎から具体的なケースまで、わかりやすく解説しているため、この記事が遺族の皆様の疑問や不安を解消する手助けとなれば幸いです。
Contents
死亡事故で弁護士を依頼するメリットと費用についての概略
死亡事故に関する損害賠償請求は、遺族にとって心情的にも負担が大きく、自ら加害者あるいはその保険会社と交渉するのは難しい場合が多いです。しかし、代理人弁護士をつけることで、その心理的負担は大きく軽減することができます。
当然、請求に必要な慰謝料等の計算、事故の状況に応じた過失割合の算出なども、専門家である弁護士に委ねる方が確実ですし、 保険会社の対応も、自ら行うのに比べて円滑に進む可能性が高まります。
弁護士は法律の知識を活かして遺族の利益を最大化し、適切な示談交渉を行います。コストの観点からいえば、弁護士費用や着手金がかかりますが、当法人は、法律相談は無料です。
弁護士費用特約を利用があれば、弁護士費用の全部または一部を保険会社が支払いますし、弁護士費用特約で賄えない部分があったとしても当法人は、相手からの示談金から精算しますのでご依頼者の負担はありません。
死亡事故賠償の請求に必要な知識・手続き
交通事故が原因で亡くなられた方の遺族は、加害者や保険会社に対して慰謝料や逸失利益を請求することができますが、それには最低限、以下の作業や準備が必要となります。
- ①賠償請求の主体となる遺族の範囲(相続人等)を特定
- ②交通事故の発生状況や過失割合を認定
- ③賠償金額(慰謝料額、逸失利益、実損等)の計算
- ④請求書の作成
- ⑤加害者や保険会社との交渉
- ⑥必要に応じて裁判手続き(訴状や証拠の作成、裁判への出廷、裁判における主張書面の作成、尋問への対応等)
これらの手続きには、法律の知識や交渉力が求められるため、専門の弁護士や法人に依頼または相談の上で対応することが望ましいです。
加害者側に請求できる賠償金額の詳細
次に、請求を行う上で最も重要な請求内容についてですが、死亡事故における賠償金額を構成する主な要素は以下のとおりです。
- ①慰謝料(被害者本人の慰謝料の他、遺族固有の慰謝料も発生します)
- ②治療費等の実損
- ③休業損害(事故発生から死亡までにある程度の時間間隔がある場合)
- ④逸失利益
慰謝料は精神的苦痛に対する補償であり、死亡事故の場合、死亡した被害者の被った精神的苦痛だけでなく、遺族の精神的苦痛もその根拠となります。治療費は、医療費用やリハビリテーション費用、薬代などです。
その他、診断書発行費用、葬式代なども治療費同様の実損として一部補償の対象となります。休業損害は、事故により働けない期間の収入損失です。 逸失利益は、事故が発生しなかった場合に被害者が得られたであろう収入の損失です。
事故の示談交渉過程での弁護士の役割
続いて、交通事故示談交渉で依頼を受けた弁護士の役割についてです。
当然ながら、弁護士は被害者の権利を最大限に保護し、適切な賠償金額の獲得を目指します。
具体的には、以下のような業務を行います。
- ①請求権を持つ遺族の特定
- ②賠償金額の適切な算定と請求
- ③保険会社との交渉
- ④合意書類の作成
- ⑤その他法的アドバイスの提供
①の遺族の特定は、被害者の相続人が誰であるのかを確定し、誰が請求を行っていくのかの確認作業です。基本的に(加害者側の)保険会社は、全遺族との一体的な交渉を求める傾向にあります。
つまり、遺族側は相続人全員で足並みを揃えて対応していく必要がありますが、弁護士はまず、相続人が誰であるのか、全員が一体的に対応していけるかを相続人一人一人に確認します。
②の算定に当たっては、交通事故の状況や過失割合などを考慮し、適切な賠償金額を計算します。
その上で、③~⑤といった、保険会社との交渉をスムーズに進めるための書類作成や電話での交渉、依頼者に対する法的アドバイスの提供等を行います。経験豊富な弁護士に依頼することで、これらが円滑に進み、適切な賠償金額の獲得が可能となります。
慰謝料の計算
死亡事故における賠償請求において、重大かつ複雑な請求費目の一つが慰謝料です。
法律には具体的な算定基準の記載がないため、相手方との折り合いがつかない場合は裁判にて確定するほかありませんが、裁判においてどのように慰謝料が計算されるのかを把握することは、交渉においても非常に重要です。
慰謝料は、死亡事故によって遺族が受けた精神的な苦痛を補償するものですが、計算においてポイントとなるのは、概ね以下の事情です。
- ①事故の発生状況
- ②被害者の属性(年齢、家族構成、職業等)
- ③事故発生時、直後の加害者の言動や対応(応急処置を実施したかどうか、謝罪しているかどうか等)
- ④遺族の事情(被害者と同居していたかどうか、事故後生活にどのような変化が生じたか等)
死亡事故においては、傷害事故の場合と比べて慰謝料に相場という相場がありません。
裁判においては、過去の判例から、上記の事項に関し比較的共通点の多く、類似性の強い事案を参考に、慰謝料が算定されます。
交渉においても、裁判になった場合を想定して協議が行われますので、上記の分析と過去の裁判例をもとに、適切な金額を算出することが重要であり、これらの専門的知見を有する弁護士によって計算が可能です。
逸失利益の計算
逸失利益は、死亡事故によって生じた財産上の損害を補償するもので、亡くなった方が生存していた場合に、将来受け取ることができたであろう収入を算定して請求します。計算方法は次の通りです。
- 1.亡くなった方の年齢、職業、収入等を基に、将来の収入を予測
- 2.亡くなったことによって支払不要となった生活費や、本来の収入発生予定時期までの中間利息を差し引く
1の計算においては、被害者があと何年生きられたのかを、統計上の平均余命や被害者の健康状態などから推定し、その間にどういった収入をどれだけ得られたのか計算します。そして、2の計算においては、統計学に基づいた特定の係数(生活費控除指数やライプニッツ係数など)を用いて計算します。
上記1や2の計算については、いずれも統計データやそれを活用する知見が必要となりますが、慰謝料同様、交通事故を専門分野とする弁護士によって計算が可能です。
弁護士に依頼することで得られる慰謝料、逸失利益増額の可能性
これまでに述べた通り、死亡事故の賠償金請求においては、事案の分析はもちろん、それを過去の裁判例に結び付ける能力や、統計データと照らし合わせ将来収入を計算する能力が求められます。
こういった能力が十分にない状況で、支払者となる加害者やその保険会社と交渉する場合、本来獲得できるはずの金額を知らないまま、それよりも低い金額で話が進んでしまう恐れがあります。
こういった事態を防ぎ、あるいは、既に支払主から提示されている額を適正な額に引き上げるためには、これらの能力に長けた弁護士を選任することが最も得策です。
弁護士に相談、依頼を行う適切なタイミング
では、弁護士に相談、あるいは依頼をする適切なタイミングはいつでしょうか。
結論としては、できるだけ早くにご相談、ご依頼されることをお勧めいたします。
なぜならば、まず、弁護士に相談、依頼することで心理的、物理的な負担が軽減されると見込まれるためです。
被害者の死亡後、遺族は、葬儀や相続手続きなど多くの手続きを処理しなければなりません。こういった手続きと並行して、損害賠償請求の検討、準備を行うことは物理的にも、心理的にも困難です。
できるだけ早く弁護士に委任しすることで、最大限負担を軽減させることをお勧めいたします。また、ご自身で相手方との交渉を進めてしまってからのご依頼だと、弁護士が交渉によって実現できる解決の形が限られてきてしまいますので、より幅広い解決の選択肢を残すためにも、早期に依頼する方が得策です。
それから、被害者の相続人が複数いる場合、相続人は全員で遺産分割協議等の相続手続きを行う必要がありますが、賠償金の処理がこれらの相続手続きに影響してくることがあります。相続手続きを円滑に進める前提として、賠償金の清算を早めに終わらせておく必要があります。
なお、費用については、当法人は、弁護士費用特約の利用ができますし、特約がない場合であってもご相談いただければ、着手金無料とさせていただきます。したがって、事実上コストをあまり気にすることなく進めることができます。
無料相談を活用して最適な弁護士を選ぶコツ
では、どういった弁護士に相談、依頼すればよいのでしょうか。弁護士事務所は多数ありますが、主に考慮すべき事項は、以下のとおりです。
なお、近時は初回の法律相談を無料で承っている事務所が多いですが、相談料が発生するか確認が必要です。当法人は、初回相談無料です。
まず注目すべき点は、実績と専門性です。相談内容に適切な知識と経験がある弁護士を選ぶ必要がありますが、これは相談前にホームページや口コミである程度確認可能です。実際に相談に行った際に、直接弁護士に聞いてみるのも良いでしょう。
また、対応力も重要です。迅速な対応が期待できる弁護士や事務所を選ぶことで、問題解決までの時間が短縮されます。依頼した場合のスケジュール感についても弁護士に聞いてみると良いかと思います。
次に、その弁護士との相性も大切です。自分が疑問を感じたときにいつでも質問できそうな弁護士なのか、きちんと報告、連絡、相談をしてくれそうな弁護士なのかを見極めましょう。事案によっては、解決までに長い期間を要する場合もありますが、その間、できるかぎりストレスなくコミュニケーションを取れる弁護士に依頼することが重要です。
最後に、費用面について、弁護士費用特約を利用できるか、着手金の手出しがあるかなどを確認しましょう。
弁護士費用の相場と内訳について
では、具体的に費用はどれくらいかかるのでしょうか。死亡事故の弁護士費用の相場は、事件の規模や複雑さによって変動しますが、おおよそ以下のような内訳で構成されています。
- 《依頼時に支払う相談費用、着手金などの初期費用》
これは弁護士との契約時に支払われる費用で、事務手続きや相談に伴う諸経費が含まれます。 - 《成功報酬》
これは事件が解決した際に支払う費用で、獲得額に応じた割合計算方式で設定されていることが一般的です。 - 《交通費や通信費などの経費》
これらは事件の進行に伴って発生する実費で、別途請求されることがあります。
なお、被害者が弁護士特約付の保険に加入されていた場合、費用の一部または全部を保険会社に負担してもらえる場合がございますので、この点も確認されることをお勧めします。
弁護士に依頼する費用とメリットを比較検討
弁護士から依頼にかかる費用を確認できたら、その費用とメリットを比較検討する必要があります。その際、考慮すべき重要なポイントは、以下のとおりです。
- ①その弁護士に依頼することで活用できる専門知識や経験の質と量
→適切な方法で損害賠償請求や交渉を行い、適正な金額を獲得する可能性を高めることができます。 - ②その弁護士に依頼することで得られる時間的、精神的な利益
→弁護士が代わりに交渉や手続きを行ってくれるため、被害者や遺族は交渉の時間的、精神的負担から解放され、安心して日常生活に専念することができます。特に、相続人が複数いる場合、全員で同じ弁護士(あるいは弁護士事務所)に依頼しなければ、それぞれが自身で対応しなければなりません。この場合、遺族の間で足並みを揃える作業も必要となり、多大な時間と労力を要します。 - ③その弁護士に依頼する際に生じる費用の額と支払時期
→弁護士費用特約の利用ができる、または完全成功報酬制の弁護士であれば、事実上自己負担なく依頼が可能です。当法人は、完全成功報酬でのご依頼をもご相談に応じております。
実際の死亡事故の解決事例と対応法
最後に、実際に当事務所弁護士が対応した死亡事故事例を簡単にご紹介いたします。
事案は、60代後半の男性が夜間横断歩道を歩行中に、信号無視で交差点に進入してきた車両に衝突された、というものでした。
被害者は一人暮らしで、相続人(依頼者様)は他県にお住いのご兄弟1人のみでした。依頼者様は遠方にお住まいで葬儀等の対応だけでも精いっぱいだったこと、初めてのご経験で対応の仕方も一切わからないということから、当事務所弁護士に依頼されることになりました。
受任した当事務所弁護士は、事故現地調査及び事故状況を記録した防犯カメラの画像収集を行い、事故状況を正確に把握したうえで、裁判例等の調査の後、請求額を確定しました。そして、加害者側保険会社に請求を行い、結果として約3000万円の賠償金を獲得いたしました。
この事案では、受任直後、速やかに証拠収集を行い、事故の悪質性を正確に立証できたことが功を奏し、比較的早期かつ十分な賠償金の獲得に成功したといえます。
詳細は、以下のページをご確認ください。
死亡事故の示談交渉 →死亡事故と弁護士に関するまとめとアドバイス
以上、死亡事故に関する弁護士の役割と、弁護士に依頼するメリットについてご説明いたしました。要点をまとめると、以下のようになります。
【弁護士への依頼によって期待できること】
- ①遺族間での対応の統一化
- ②物理的、心理的負担の軽減
- ③賠償金額の適正、最大化
- ④保険会社との円滑かつ効果的な交渉
以上を踏まえた上で、まずは弁護士に無料相談を行い、事故の概要や解決方法について相談しましょう。弁護士の対応やアドバイスを聞くことで、自分にとって最適な弁護士を見つけることができるはずです。
今回の記事を参考に、ぜひ弁護士に相談し、問題解決への一歩を踏み出してください。